さくらと小狼の初デート


「ほええぇぇぇ!!」
めざまし時計のベルを止めたと思っていたら、超特急で身支度をすませてしまうさくら。
「あんなにうるさく鳴ってんのに起きんのは、さくらだけや!!」
うぅっ、ケロちゃんからのきつい一言。はうー、分かってるのにぃ〜!!
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る。
「はい、はぁ〜い」
あけなくてもわかる。あの人が来ている。
「おはよう、知世ちゃん!小狼くん!」
「おはようございます、さくらちゃん」
「おはよう」
さくらはあわてて、いままでのローラーブレードではなく、ローファーを履き、ふりむいて、父の藤隆さんからお弁当をうけとり、「お父さん、いってきます!」と言って、家をとびだした。
さくらのとなりを歩く知世の右手にはビデオカメラが。
「最新の機種なんですの!…あら?さくらちゃん、そういえば今日は日直なのでは?」
小首をかしげて知世がたずねる。
「ほえ?…ほえええ!!そ、そうだった!知世ちゃん、ありがとう!!」
そして、小狼のほうを向くと、
「小狼君、ごめんね。私、先に行くから!」
「あっ、おれも…」
“一緒に行く”と言おうと思ったら、すでにさくらは角をまがったあとだった。
「さすがさくらちゃんですわね」
と、知世の感嘆のこえ。
すると唐突に、知世はビデオカメラのスイッチを切りながら、言った。
「“そういえば”、李君、そろそろさそってみてはいかがですか?」
と。
「え?」
いきなりの発言に、さいしょは小狼は意味がわからなかったが、つぎの一言で理解できた。
「さくらちゃんとご一緒にお出かけをなされては?」
!!!!!
みるみるうちに小狼の顔は真っ赤になる。
「な、何言って・・・・・」
「もっと、自分に自信を持ってください。李君なら大丈夫ですわ」
その言葉を聞いて、昔とかわってないなぁと思いながらも、デートしているさくらと自分の姿を想像して、さらに顔が熱くなった。
「おれは…そ、その…さ、さくらがいい、なら…」
「それなら大丈夫ですわね!もちろん、デートのお洋服は私がお作りしますわ!!」
しっかりと、そこもかわってない。
「李くん、さくらちゃんをちゃんと誘ってあげてくださいね!!」
瞳が、キラキラとまぶしい知世。久しぶりに服がつくれるのでうれしいのだろう。
きづけば、すでに学校の校門をくぐっていた知世と小狼。
半ば強制的にきまった、さくらをデートにさそって、デートをするということ。
「…困った…」
小狼は校舎を見上げて、ちいさくつぶやいた。



“デートはどんなのがいいか?”
小狼の頭の中はそのことばかり考えている。
「小狼くん・・・・・小狼くん!!」
はっとして、顔をあげるとさくらが心配そうに顔をのぞきこんでいるではないか!
そのときはじめて、昼食の時間であることを知らせるチャイムが鳴っていることにきづいた。
「小狼くんどうしたの?授業中もぼーっとしていたし・・・・・」
「え?いや・・・・・なんでもないよ」
この状況をたのしんでいるかのように背後でほほえむ知世は、この先のことも知っていそうだ。



三人は裏庭のベンチに腰をおろした。
知世は小狼に意味ありげな視線をおくると、
「さくらちゃん、李君、こんどの土曜日にみなさんでおでかけいたしませんか?」
小狼はドキッとする。
さくらは瞳をかがやかせる。
「・・・・・ケロちゃんも?」
「ええ、もちろんですわ」
さくらの問いかけに笑顔でこたえる知世。
しかし、つぎのの瞬間、さくらの両手をキュッとにぎりしめ、目の高さに持ってくると、
「おでかけの洋服はぜひ、私につくらせてくださいな!」
と一言。いつもの、あのかがやく瞳で。やっぱりだれも、知世ちゃんにはかなわない。
「う、うん」
ハハハ と、さくらと小狼は苦笑いをするのであった。







知世ちゃん大活躍(?)な第1話でした。というよりかなり強制的;
本物の知世ちゃんはそんなひどいコトはいたしませんが、このお話はあくまでも私の妄想によりできているモノですので、どうか諦めてください(苦笑)
次回はデート当日です。問題は、小狼のエスコート具合ですね(笑)
次回は少しお話が長いです。スクロールのサイズが小さい;

管理人:咲良 ひとむより
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