時折、なびく 第0話 〜プロローグ〜


HR開始の鐘が鳴り、それぞれかたまってしゃべっていた生徒たちが自分の席へと戻ってゆく。
わたしも話していた友だちの席から自分の席に戻ると、ちょうど教室の扉が開いた。
いつも入ってくる担任の先生とは違う、でも見たコトのある背格好の人だった。
「こんにちは。今日から新しく担任することになった、 谷之 純玲 といいます。宜しくお願いしますね!」
笑顔で黒板に名前を書き、そう名乗った人は、なるほどこの前寿退社していった担任だった先生の代わりに着任した、新しい担任の先生みたい。
見たコトがあるもなにも、月曜にしかやらないと思いこんでいたほどだったのに、珍しく金曜に集められた今朝の全校集会で、着任の挨拶をしていたよ。見覚えがあって当然だった。
新任、けっこう若い気がする。25歳くらい、かな?
「それでは、出席確認をします。 相模茅優さん」
「はい」

―――――

蝉野 守さん」
「はい」

―――――

「えーと…何と読むのかしら?…ほらんみさとちゃん?」
毎度のコトなので、ため息をつきそうになる。
「すいらん、はるりです」
「分かったわ。すいらんさんね」
はあ、ほんと、みんな読めないんだから。
穂蘭 美里
自己紹介のときに読み方を聞かれたり間違えられたりするのはいつものコト。
ま、気にしないけど。その名前や漢字が読みにくいっていうのは、漢字の読み書きを習う前、生まれた時から持っていたらあまり違和感をもたないけど、第三者からは違うんだから仕方ない。
わたしは、太陽のあたるあたたかな場所でで白く光る机の埃を片手で払った。






これは、旧サイトで連載していた小説です。旧サイトでは、第4話までしか載せられませんでし たが、このサイトでちゃんと完結させたいです。

In a former site.07.02.16.up.
In this site.07.09.18.up.
Revising date.13.11.09.up.